数学と物理学の違いについて
物理学は物理現象を説明できる体系が存在すれば良いのだから、数学のように定義や論理的構成に気を配る必要はない。
数学は論理的構成を重視するので、一見しても意味が分からない定義を採用することが多い。簡潔な証明や話の順序のためである。
「分かっている」こととそれが論理的に明確に定義できることの間には大きなギャップがある。例えば線が「まっすぐ」ということは直感的には明らかだが、それを論理的に定義することは難しい。
また、仮に定義できたとしても、それはその対象概念のある一面を取り上げているに過ぎない場合もある。要は抽象的定義をする際に捨象される部分であるが、発見的議論ではむしろその捨て去られた部分が大切だったりする。
数学的定義をすることによって情報量が失われる。
物理学は物理現象を「説明」出来れば良いのだから、定義や論理的構成にこだわらず、対象をあるがままに捉え、そこから得られる豊富な情報量を全て活かすのが良い。
数学的には定義されていないけれども、分かっていて、議論を進めることが出来るということはある。(例えばオイラーの数学。)
問題はそれを許すかどうかである。