ベクトルと座標変換
物理法則は座標変換で不変でなければならない。なぜなら座標とは人間が設定した恣意的なものであり、自然法則はどんな座標系が設定されているのかなど「知らない」からである。
従って自然法則は座標変換で不変な形式で表現されなければならない。
物理法則はある二つの物理量が等しいことを表現するものである。例えばニュートンの運動方程式
は力Fと加速度(を質量倍したもの)maが等しいことを表現している。
この「等しい」というのが、どんな座標系でも等しいことを要求する。ベクトルを用いるとこれが簡単に表現できる。
ベクトルとは座標変換において位置座標と同じ変換規則で変換される数の組みのことである。
したがって二つのベクトルA,Bが等しいA=Bであることは、全ての座標系で保証される。なぜならA,Bは定義から同じ変換規則で変換されるから。
要はベクトルというのは物理法則を表現するための便利な数学的道具であるということだ。別に何か新しい物理的意味がそこに含まれているということではないので気をつけること。