jyanjayakaの日記

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ガロア理論

ガロア理論は代数方程式についての理論だ。そこで、ガロア理論を学ぶ前に、まずそもそも代数方程式とは何か、方程式とは何かについて考えておくことは良い準備になるだろう。

 

そもそも論

代数方程式について考える前に、そもそも方程式とは何か考えてみよう。方程式と名のつくものをよく観察すると、方程式に共通するものが見えてくる:方程式とは何か分からないものがあって、それについてのヒントを表したものだ

分からないものが数で、それについてのヒントが代数的に与えられたものが、つまり代数方程式

 a_n x^n + a_{n-1} x^{n-1} + \cdots + a_1 x^1 + a_0 = 0

である。

分からないものが関数であり、それについてのヒントが微分で与えられていれば、それは微分方程式と呼ばれる。

ちなみに、もちろん分からないものが数であったとしても、

 \sin x = x

のように、ヒントが代数的に与えられていないものも、もちろん考えることができる。

このように様々な方程式が考えられるわけだが、そんな中でガロア理論は特に代数方程式を扱う。なので以下では方程式といえば代数方程式を指すことにする。

 

さあ方程式を解こう。でも、その前に

方程式があればそれを解きたくなるのが人の性である。

代数方程式は紀元前からその解き方が研究されてきた。ガロア理論はある意味で人類の長大な代数方程式論研究の集大成と言える。

また、微分方程式もその解法が盛んに研究されている。それは微分方程式がこの世界の基本法則を表現するものとしてよく使われるからである。例えば力学で言えば、物体の運動の様子が分からないもの(時間を変数とする未知関数)であり、それについてのヒントがニュートン運動方程式と呼ばれる微分方程式で与えられる。

 

このように方程式は解くことが注目されがちであるが、実はその前に考えておくべきことがある。それはそもそもその方程式に解が存在するのか、ということである。例えば今適当に方程式を作ってみる:

 x^4 + 3x^3 - x^2 + x - 6 = 0.

この方程式を満たすような数が本当に存在するかどうかは、明らかなことではない。もっと複雑な方程式も考えることができるが、そのような複雑な条件を満たすような数はちゃんとあるのだろうか?

この疑問について決定的な回答を与えるのが、いわゆる代数学の基本定理である。要は「複素数まで探索の範囲を広げれば、どんな方程式にも解が存在する」ということだ。しかもただ存在するだけでなく、\(n\)次方程式には(重複度を含めて)\(n\)個の解があることまで保証されている。

 

 方程式を解くとは一体どういうことか

方程式に解が存在することは保証されたので、安心して方程式を解こう。

 

方程式を解くというのは、その方程式を満たすような数を明らかにすることだ。そのための一つの方法として、コンピュータによる計算がある。実際、ニュートン法などの方程式を解くアルゴリズムが知られている。これによれば、任意の方程式を任意の精度で解くことができる。

しかしここである問題が生じる。方程式が与えられた時、それをコンピュータで解いたとしても、何か不満足を感じるのである。よくよく考えてみると、それはコンピュータで方程式の解を求めたところで、方程式についての本質的な理解が深まらないということから来ることに気がついた。もちろん、単に方程式の解が欲しいということもある。例えば先に挙げた微分方程式で言えば、微分方程式の解を兎に角出してしまえば、それが実際的に役に立つ。

そこで方程式を単に解くだけではなく、方程式について何か本質的な理解ができるような方法が欲しいのである。

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