前の記事で述べたように、中心極限定理は誤差論の基本定理と見なせる。そこで我々が理解したのは、誤差というものが持つ一般的性質、その分布の仕方であった。このことが分かると、次に統計学で言うところの推定へと進むことが出来る。
ある測定(例えば世論調査)を行った時に、その結果が真の値とどれだけ離れているのかを調べることは、測定の誤差を評価する問題に帰着される。そして中心極限定理によれば、十分大きなサンプル数で測定を行えば、誤差値の分布は正規分布に従う。だから、測定で得た値と真の値とのずれを確率的に調べることが出来る。