統計学を現実世界に適応するための仮定について
統計学は、他の様々な現実を説明しようと試みる理論と同じく、現実に対して何らかのモデルを用意する。そのモデルが現実を上手く表現できていればいるほど、統計学は現実に対して有効な記述を行うことが出来る。
統計学が用意しているのは、個々のモデルについての理論的枠組みであって、それが実際に現実に当てはまるかどうかはこちらの判断に委ねられている。
こういう事情は例えば幾何学にもある。ユークリッド幾何学は数学的な理論であるが、これは現実の空間に対する精度の良いモデルとして用いられている。しかし、より精度の高いモデルも提案されていて、それは一般相対性理論を背景とした、リーマン幾何学*1である。
ユークリッド幾何学が我々の現実とどれだけ乖離しているのかという問題は、ユークリッド幾何学というモデルで考察できる範囲を超えている。それは物理学等が答えるべき問題である。
統計学も同じことなのだが、我々の直感から構成されているユークリッド幾何学と違って、統計学の提供するモデルを現実に当てはめることには、しばしば精神的ギャップを覚えることがある。